《 猫の「下僕」の一人語り 》 (その1)「ある朝の風景」
【 初めに 】
私の主人の名は「アズキ」。 雑種猫です。
(出会い〉は——ウチに迷い込んできたところを保護した次第です。
年齢は5歳。 とにかくワガママで「噛み癖」がある〈暴君王子〉。
そんな「アズキ」様に仕え始めてはや5年。
いろんな事を経験してきましたので、
そのホンの一部を
気ままにのんびりと語っていきたいと思います。
【 目覚めの恐怖 】
「!?」
得体のしれない(異様な気配〉を察知して目覚めた私。
枕の上の頭を左へと倒して————
ふと、真横に視線をやると・・・
薄暗い空間に2つの緑の「球体」が浮かび上がります!?
「ゲッ!?」
主人の「アズキ」がガン見している!?
このまま(狸寝入り)をしていても
顔面を引っ搔かれてしまうので (今まで何回も痛い目にあっている!?)
急いで「ベッド」から飛び起きます。
「午前5時!?」
時計を見るとトンデモナイ時間です。 (そりゃまだ暗いはずだよ!)
このまま待たせると「爪攻撃」が飛んでくるので
とりあえず急ぎ足で
「主人」に従ってダイニングへと向かいます。
【ダイニングにて】
そこで待っているのは「大きな机」と4脚の「イス」。
と! 「御主人さま」はその机上にピョコンと飛びのり腹ばいになります。
「さあ。撫でろ。」
その無言の背中が・・・「下僕」の私に圧倒的な力で語りかけてきます。
私はおずおずと手を差し伸べて———
「御主人さま」の頭から背中を丁寧に撫でるのでした・・・。
こんな「朝の光景」が毎日穏やかに続いていきます。
〈主人〉である「アズキ」様と
〈下僕〉の「私」のいつもの何気ない「ルーティーン」。
そんな何気ない「心の交流」が
私に「安らぎ」と「癒し」を与えてくれるのです。 (つづく)